Movie
ザ・マミー 呪われた砂漠の王女 (2017)
トム・クルーズ主演にもかかわらず、一撃でダーク・ユニバース構想を頓挫させた駄作『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』をAmazon Prime Videoで観た。

まあ、そもそもユニヴァーサル・モンスターを使ってマーベルみたいなことをやろうっていう構想自体に無理があると思うし、ユニバースをやるなら、まずはドラキュラからでしょ?何故ミイラ?という時点でコケる香りはプンプンしていた。だから、俺はユニヴァーサルのホラー映画なのに、劇場にも行かなかった。で、案の定映画は大コケして、ダーク・ユニバース構想はまさかの1作目で中止になったという。そんなわけでBlu-ray新品がAmazonでは1,000円を切る値段で叩き売りされているにも関わらず、俺はメディアも買わずにPrime Videoでようやく観た。
いやー、つまらなかった!ユニバース構想が邪魔をしているのは明白で、ホラー映画なんだかアクション映画なんだかヒーロー映画なんだか、映画のジャンルそのものがよく分からなくなってる。ユニバース構想のためのラッセル・クロウのジキル博士も物語を引っかき回すだけの邪魔な存在でしかない。
加えてトム・クルーズ演ずるキャラクターの性格がいけすかなくて、何を考えているのかもよく分からないから、どうにも感情移入できない。物語自体もご都合主義が随所に見られて、アマネット王女を生き埋めにするための洞窟に棺を引き上げる仕掛けがあることもおかしいし、女王に手下にされた死体はただのゾンビだし、ましてや王女と全く関係のないイギリスの十字軍の兵士達の死体を操れるというのもおかしな話だし、何だかもう、しっちゃかめっちゃか。
ネットの評判を見ると『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』は良かったって声も多いけど、俺からすればいや、あれも『ミイラ再生』(1932)には程遠い駄作だったでしょ?という。何でユニヴァーサルのミイラ男のリメイク/リブートはこう毎回ダメなんだろうねえ。
第二回 ドキッ☆男だらけのホラー映画観賞会
2020年にやったドキッ☆男だらけのホラー映画観賞会再び。メンツは前回同様コバルトとモリモトアリオミくんの男三人で、場所も同じく我が家。前回はコバルトが料理を作ってくれたけど、今回は料理の時間が勿体ない、ということでオードブルを色々買い込んでの開催。


1本目は『モンスター・パニック 怪奇作戦』(1970)。一人で観てもゲラゲラ笑っちゃう映画だから、みんなでお酒飲んで観たらもっと楽しかろう、と景気づけに俺がセレクト。もはやこの映画はホラー映画として認知されていないという(笑)
そしてやっぱり、モンスターが出てくる度にそのチープさにゲラゲラ笑い転げた。個人的にはミイラ男が一番ツボかなあ。次点でフランケンシュタインの怪物。もう、ミイラ男はただのしわしわの怪我したおじいちゃんにしか見えないし、フランケンシュタインの怪物の眉毛なんかは、笑わせに来てるとしか思えないのよねえ。
続いて2本目はアリオミくんのラヴクラフトものを観たい、というリクエストで輸入盤でしかもモノクロ、サイレントの『クトゥルフの呼び声』(2005)へ。まあ、輸入盤ではあるけれど、原作にかなり忠実であるのでコバルトにはちょいちょい原作の説明をしつつ観賞。この時点で結構お酒が入っていたけど、登場人物の名前とかもスラスラと出てきて、我ながらよく「クトゥルフの呼び声」の原作を覚えているもんだ、と自分に感動(笑)
そして3本目は正統派怪奇映画の傑作『回転』(1961)。怪奇小説を読んでいるかのような良質なじわじわとくる演出にお酒もぐいぐいすすむ。買ってきた日本酒とワイン2本はコバルトと俺しか飲まないのにあっという間に空になっていたのでした。
映画を観終わった後はおまけでアリオミくんと俺も執筆している『ジョージ・A・ロメロの世界』の辛辣なAmazonレビューを読んでみたり、NEUROTIC DOLLの昔のライブ映像を観たりして今回も充実した時間を楽しく過ごした。あー、楽しかった!早く第3回をやりたいなー!
シン・ウルトラマン (2022)
『シン・ゴジラ』(2016)が面白かったので、怪獣映画好きとして期待の高まる『シン・ウルトラマン』を劇場に観に行ってきた。

シン・ゴジラのテロップからシン・ウルトラマンに切り替わり、いきなり『ウルトラQ』第一話の怪獣であるゴメスが登場!うおお!オリジナルではモスゴジのスーツが流用されてたのを踏襲して、ちゃんとシン・ゴジラのCGを流用に置き換わってる!いきなりマニアックさ全開!その後もテンポよくマンモスフラワー、ぺギラ、ラルゲユウス、カイゲル、パゴスと出て来てテンションは一気にぶちあがり!
と、言いたいところだったんだけど、途中で「禍特対」というヤンキーも真っ青なダサイ当て字が出て来て一瞬不安がよぎった。そしてパゴスのデザインが大幅に変更されて、殆どエヴァンゲリオンの使徒になっているのを観た瞬間に「あー、これヤバいかもな」と思った。
そしてネロンガ登場。『シン・ゴジラ』よろしくスーツでパソコンカチカチやりながら早口でやりとりをする科特隊の面々。いや、怪獣が暴れている現場にパソコン抱えてスーツで登場?しかも指揮権を委ねた側の自衛隊が「引継ぎは省略でいい」ってお前が判断することではないだろ?と、アタマに疑問符並びまくり。何だか『シン・ゴジラ』でウケた要素の外面だけを大幅にスケールダウンして模倣しているようにしか見えない。それでも、ウルトラマンがスペシウム光線でネロンガの背後の山あいもろともすっ飛ばす辺りまでは楽しめた。でも、それがピークだった。
ネットでも散々叩かれていた長澤まさみを中心としたセクハラ演出(コーヒー、ケツ叩き、巨人化、匂いを嗅ぐ)にもうんざりだったし、成田亨デザインに敬意を表してウルトラマンのカラータイマーを排したという割には怪獣たちのデザインは凌辱しまくっているし、メフィラス構文も狙いすぎでしつこいし、ゾーフィのネタは知っているけどそれを公式で本当にやっちゃうのは違うと思うし、ゼットンはもはやゼットンではなかったし、ほぼ全面に渡って不満しかなかった。
何より俺はもっと怪獣プロレスが観たかった。『シン・ゴジラ』よりも予算が少ない事情があるとは言え、CGは家庭用ゲームレベル。それならいっそのこと、日本が世界に誇る着ぐるみ特撮でどんぱちやって欲しかった。
映画としても人間ドラマ部分の脚本が薄っぺらいから、突然バディだ言われてもそんな仲間意識は生まれるわけがないし、観ている側としても感情移入はできない。何だか、全てが全て『シン・ゴジラ』のパロディみたいな映画だった。残念。期待が大きすぎたのかなあ。
ミスト (2007)
最高のバッドエンドな鬱映画と評判の高い『ミスト』をAmazon Prime Videoでようやく観た。

(以下、ネタバレ全開なので未見の方は閲覧を避けてください)
▼Read More噂にたがわぬ鬱映画だった。原作のスティーブン・キングの小説は読んだことがない状態で観たので、ラストの展開はちょっと想像を超えるレベルでズドンと心にのしかかってきた。絶望的な瞬間に流れ出す、Dead Can DanceのThe Host of Seraphimも絶妙。リサ・ジェラルドの宗教的で観念的な歌声が耳から離れない。
物語の構成自体は言ってしまえば『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』なわけだけど、ヒネリが本当にエグイ。観ている側はデヴィッドの側に肩入れするように仕向けられているから、心のどこかで狂信者の女性の一派は助からなくて、それまで理知的に振舞っていたデヴィッド達の一派は助かるのだろうとどうしてもバイアスがかかってしまう。
まあホラー映画だから最悪デヴィッド達の一派も全滅するかもなあ、程度には正直想像はしていたものの、それがデヴィッドによる自身の息子を含む仲間全員の射殺というのは後味がもの凄く悪い。でも、衝撃的な結末はそこからまだ先にあるという、二段構えのさらなるエグさ。しかも、よりによって残った狂信者達一派は助かっている皮肉。
いや上手い。こんなヒネリを加えてくるとは思いもよらなかった。観ている側のバイアスを上手く利用して、それを裏切って来るとは。
確かに冷静になって観返してみると、デヴィッドの判断と行動は合理的で常識的なように思われるけど、結果は全て裏目にでてる。灯りを窓に近づけ昆虫を呼び寄せてしまったり、そばの薬局へ薬を取りに行き犠牲者をより増やしてしまったり、スーパーから脱出するという選択肢をとったり、ガソリンが限られている状況の中で妻の様子を見に行ったり。
その時その時では十分な動機と理由があるし、自分もその場にいたら同様の選択をするだろうと思わせるものばかり。でも、結果は全て望まない方向へと進んでしまう。何ともつらい。結局、人は置かれた状況の中で常に自分が信じる最前の対処を行おうと対応をするものだし、こんな極限状態に置かれたら何とかしてその状況を打破しようともがくものだと思う。
ただし、それが必ずしも良い結果につながるとは限らない、行動をしないことが正しかった、と突き付けるラストは本当にエグイ。観終わった後も心がざわざわして長いこと動悸が治まらなかった。最高の鬱映画と評判になるだけのことはある。すごく嫌な映画だと思う。即、モノクロ版も収録されているDVDのコレクターズ・エディション版を注文した。
モンスター・パニック 怪奇作戦 (1970)
アダムス・ファミリー (2019)
ちょっと子供向きかも?とは思いつつも、やっぱり『アダムス・ファミリー』は好きなので劇場に観に行ってきた。

何だか出来の悪いディズニー映画みたいな、ファミリー向けキッズアニメだった。子供向けを強く意識しているせいか、毒気が抜かれブラックジョークのキレも悪い。
テーマも「多様性を受け入れよう」っていうのが前面に出すぎていて、説教臭いし、それがアダムス・ファミリーが持っている風刺性とかブラックジョークの魅力を半減してしまっているように感じた。これ、アダムス・ファミリーでやる必要あったのかな?
後、キャラクターデザインに関して、プロデューサーのケヴィン・ミゼロッキが「ハンナ・バーベラ・プロダクションが制作したTVアニメシリーズではキャラクターの外見が大幅に変えられました」、「今回は初めて原作をより忠実に再現した」とパンフレットにあるのが大きく疑問。
確かに1992年のアニメ版は外見が随分と変わっていたけど、日本でも東京12チャンネルでやっていた1973年のアニメ版は原作に近いと思う。原作を忠実に再現って言うなら、今回のウェンズデーのあの腫れぼったい目はないよね?
ちなみに、ネットを見ると1991年の実写版をオリジナルと勘違いされている方が多いようだけど、あくまで原作はチャールズ・アダムスが1937年から描いていた一コマ漫画。実写版の最初はABCが1964年からTVドラマ化したシリーズで、その後1973年からハンナ・バーベラがアニメ化して、それをさらに劇場で実写化したのが1991年版なので皆様お間違えなく。
第一回 ドキッ☆男だらけのホラー映画観賞会
コバルトとモリモトアリオミくんの男三人で、ホラー映画観賞会をやろうということになった。場所は我が家。しかも、イタリア料理屋さんで長年働いていたコバルトが料理も作ってくれるという、何とも楽しみな豪華イベント(笑)

まずはコバルトと待ち合わせをして買い出しへ。流石コバルト、料理のできる男。食材を見て作る料理を決めていく。俺はカゴを持ってそれについて回るだけ(笑)ウチにはないバルサミコソースとか、何か高そうな海外のオリーブオイルとかもひょいひょい選んで買っていく。実に頼もしい。
買い出しが終わり、アリオミくんとも合流。三人で我が家へ移動すると、コバルトは早速料理にとりかかる。一方、ホラー映画大好きなアリオミくんは大量にあるウチの映画の棚で大興奮。二人でキャッキャとホラー話をしているうちに、料理ができあがっていく。

コバルト凄い!手料理という次元を超えて美味しかった。しかも何がすごいって、手際が物凄くいい。パッパと料理が出てくる。流石は元プロ、手慣れてる。



ワインとコーラで乾杯して、「ドキッ☆男だらけのホラー映画観賞会」スタート。1本目はクリストファー・リー主演の『ドラキュラ’72』(1972)。のっけからどの女の子がいいかという、中学生男子みたいな会話に花が咲く。俺は勿論、キャロライン・マンローです(笑)何でアルカードはシャワーで死ぬんだ、とか愛ある揶揄をしつつ、みんなでゲラゲラ笑って映画を観賞。ついでに石田さんがアッカーマンから一晩借りてこっそり複製したドラキュラリングのレプリカをみんなに見せて自慢。

美味しい料理とお酒をつまみつつ、続いて2本目はラヴクラフト原作ものの中ではかなりの良作、『ヘルハザード 禁断の黙示録 』(1991)。どんどん飲んで、ワインも2本目に突入。ラヴクラフト談義をしながら、こちらも楽しく観賞。
いやー、楽しかった!ホラー映画を観ているのに、終始みんなゲラゲラ笑っていた気がする。とても濃い一夜だった。
残穢 -住んではいけない部屋- (2016)
Amazon Prime Videoで特に何の予備知識もなく『残穢 -住んではいけない部屋-』を観てみた。

これは賛否両論だろうなあって感じ。「畳を掃くような音」っていう出だしは物語に引き込むのに十分魅力的だし、因縁を追いかけていく推理小説的な展開も面白い。マンションからの、マンション建設前のゴミ屋敷からの、戦後の赤ん坊の泣き声あたりまではまだワクワクする。
けど、そこからさらにさかのぼって大正時代の座敷牢っていうあたりから「しつこくね?」ってなりだして、美人画の掛け軸あたりで「地縛霊じゃないんかーい!」となって、九州に辿り着くころには興味が薄れてしまう。これは原作そのものが持つ問題であるかもしれない。
加えて、最近よく見かける低予算心霊モキュメンタリー系なノリも御都合主義的で白ける。よくまあ、みんなそんな昔のことこと覚えてたり、ペラペラと部外者に話すもんだな?っていう。
『リング』の貞子みたいにどどーん!っていうのも最後の最後までないし、それもすっごくちゃちいCGで笑っちゃうし。主人公の調査は途中で投げっぱなしジャーマンになるし。何とも不完全燃焼。
観終わった時には、スポンサーなのか、引越のシーンでアート引越センターの段ボールがやたらと映ってたなあということくらいしか記憶に残らなかった(笑)
ボイス・フロム・ザ・ダークネス (2017)
Amazon Prime Videoで『ボイス・フロム・ザ・ダークネス』を観てみた。

いやー!ひっさびさにやられた!ヒドイ。本当にヒドイ。何がひどいって、ジャケットにある壁の両側から無数の手が襲い掛かっているシーン。これ、劇中にない(笑)
昔からホラー映画って『ゾンビ3』みたいなタイトル詐欺とか『ブレインデッド』のジャケット詐欺とか、積極的に観客を騙して金を取るみたいなこの手のことをやっているけど、ここまで来るとちょっと笑えない。いくら何でも酷すぎる。こういうことやるから、一般の映画ファンがジャンルから離れて行っちゃうんだよ。
肝心の内容はイタリアの古城を舞台としたゴシック・ホラーで、雰囲気はあるし映像は綺麗。でも、それだけ。ストーリー自体は怪奇小説的だし、ラストのオチもシャーリイ・ジャクスンっぽくて悪くはない。なのに、そこに至るまでが結構退屈で平坦なつくり。もっと看護師のヴェレーナが狂気に飲み込まれていく描写があった方が良かったんじゃないかなあ。あと、濡れ場は唐突すぎて、不要だったと思う。
『ゲーム・オブ・スローンズ』のエミリア・クラーク主演ってとこが最大のウリなんだろうけど、あまりエミリア・クラークが好きではない俺にとっては微妙な映画だった。