自炊したPDFをSony Readerにてあらためて読了。本作から翻訳者が大滝啓裕氏にバトンタッチして、その後ラヴクラフト翻訳は大滝氏のライフワークとなったのは御存知の通り。
ラヴクラフト全集 3
著者:H・P・ラヴクラフト
訳者:大滝 啓裕
出版社:東京創元社
発売日:1984/03/30
[収録作品]
ダゴン
家の中の絵
無名都市
潜み棲む恐怖
アウトサイダー
戸口にあらわれたもの
闇をさまようもの
時間からの影
資料:履歴書
怪奇幻想・ゴシックに関することからくだらない日記までつらつらと。
自炊したPDFをSony Readerにてあらためて読了。本作から翻訳者が大滝啓裕氏にバトンタッチして、その後ラヴクラフト翻訳は大滝氏のライフワークとなったのは御存知の通り。
ラヴクラフト全集 3
著者:H・P・ラヴクラフト
訳者:大滝 啓裕
出版社:東京創元社
発売日:1984/03/30
[収録作品]
ダゴン
家の中の絵
無名都市
潜み棲む恐怖
アウトサイダー
戸口にあらわれたもの
闇をさまようもの
時間からの影
資料:履歴書
■ダゴン
「窓に!窓に!」の作品(笑)昨今じゃネットでネタ化してしまっているけど、初めて読んだ時は後味が悪かったような。でも、よくよく考えてみれば、そんな断末魔の言葉を手記にしたためているっていうシチュエーション自体がそもそもコメディ的要素を孕んでいるという(笑)
■家の中の絵
これは解説を読まないとラヴクラフトの意図は中々分からない。まあ、そんな意図を読み取れなくても十分に怖いんだけど。老人の無邪気さがかえって不気味で、いやーな感じ。
■無名都市
アブドゥル・アルハザードの名が初めて登場した作品・・・でも、個人的には内容は微妙かなあ。
■潜み棲む恐怖
『死体蘇生者ハーバート・ウェスト』に続く連載モノ。まあ、ラヴクラフトは連載モノは苦手なんだね。
■アウトサイダー
もう、完全に文体がポオ(笑)後年ラヴクラフトはこの作品に相当厳しい評価を下しているものの、これはこれでいいんじゃないだろうか。まあ、オチは途中で読めちゃうんだけどね(笑)
■戸口にあらわれたもの
いくつかあるラヴクラフトの人格乗っ取られ系の中で、俺はこれが一番好き。『インスマウスの影』のような変化球も含め、ラヴクラフト個人が抱いていた根源的な恐怖というのは、自身の身体が自身の意思を超えて異質なものとなってしまうのではないかという、自己基盤の危さにあるように思う。
■闇をさまようもの
友人ロバート・ブロックをモデルにした、ラヴクラフト流交友録(笑)「窓に!窓に!」と同様の展開ではあるけど、こちらの方が構成が圧倒的で、シチュエーションの無理やりさを感じさせない。
■時間からの影
これも人格乗っ取られ系な作品だけど、個人的にはあまりトキメかない。なんだろう?「無名都市」もそうだけど、砂に埋もれた古の廃墟都市という舞台に俺が興味を持てないからかなあ?
■資料:履歴書
全集3巻の価値はこの資料にある、と言ってもいいでしょう。ラヴクラフトの生い立ちや価値観がよく分かる、自身の手による一級資料。