『パシフィック・リム』(2013)のギレルモ・デル・トロが監督をしたNETFLIX独占配信映画、『フランケンシュタイン』(2025)が一部劇場でも公開されたので観に行ってきた。NETFLIX配信映画のせいか、パンフが売られていなかったのにはビックリ。俺は劇場で見た映画は必ずパンフを買っていて、子供の頃から観た映画のパンフをすべてとっているので、パンフがなかったのはとっても残念。

(以下、ネタバレ全開なので未見の方は閲覧を避けてください)
▼Read More怪奇幻想・ゴシックに関することからくだらない日記までつらつらと。
『パシフィック・リム』(2013)のギレルモ・デル・トロが監督をしたNETFLIX独占配信映画、『フランケンシュタイン』(2025)が一部劇場でも公開されたので観に行ってきた。NETFLIX配信映画のせいか、パンフが売られていなかったのにはビックリ。俺は劇場で見た映画は必ずパンフを買っていて、子供の頃から観た映画のパンフをすべてとっているので、パンフがなかったのはとっても残念。

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▼Read More最近ヒット作を連発しているNETFLIXだし、デル・トロの監督作品ということもあって期待が大きかったのだけど、感想としては「悪くはないけど、良くもない」だった。ユニヴァーサルの『フランケンシュタイン』(1931)、ハマーの『フランケンシュタインの逆襲』(1957)を100点とすると、70点って感じ。ちゃんと北極から物語は始まるし、怪物は「失楽園」を読むし、映像は美しいし、原作をかなり強く意識して真面目に作られているものの、テンポが悪い。実際149分と尺が長いのに加えて、前半がフランケンシュタインの独白、後半が怪物の独白と章を分割した構造なのも、原作既読者からすると「えー、こっからまだ後あれとこれのエピソードがあって・・・」と疲労を感じる。
個人的にまず一番引っかかったのは全体的に説明過剰なセリフが目立ったこと。フランケンシュタインの研究を金銭的に支援するヘンリッヒが梅毒であることをカミングアウトするシーンに「梅毒とはどのような病気か」を視聴者に理解させるような説明的なやりとりがあったり、怪物がフランケンシュタインを許すシーンも手を握り涙を流すだけで演出することはできるのに「許す」と明示的にセリフとして入れてみたりと、随分と親切すぎる作りなように思った。
それから、ヴィクターの人格設定が鬼畜過ぎて感情移入が全くできないのも微妙。ピーター・カッシングのフランケンシュタイン男爵も相当に鬼畜なんだけど、それはハマーが恐怖の主体を男爵その人にしているからであって、原作よりな構成にするのであればもう少しヴィクターにも感情移入できないと、北極でのヴィクターの後悔と独白の説得力が薄くなっちゃう気がした。
肝心の怪物のデザインは、まあジャック・ピアースの「あのメイク」を避けるとなるとある程度仕方ない部分もある。でも、カッコよすぎやしませんかねえ?特に、髪の毛伸びた後。イケメンじゃーん!俺はオペラ座の怪人のエリックにしてもそうだけど、排除される我々怪物側は醜くなくちゃいけないって思ってる。でないと、我々闇の存在の悲哀が際立たない。いくら心が純粋であろうが、いくら知性が高かろうが、いくら才能があろうが、醜いというだけで理解されることもなく排除されるからこそ我々は哀しい存在なのであって。イケメンがやるんじゃ「私だけはあなたの理解者よ!」と、実は外見が良いからそんな理解を示しているだけの偽善者達の自己満足を満たす存在に成り下がってしまう(我ながら捻くれてるね)
とまあ気になる点をうだうだ書き連ねてみたけど、悪くはない映画だったよ。でも、個人的には原作に忠実なフランケンシュタイン映画として比較するなら、ケネス・ブラナーの『フランケンシュタイン』(1994)の方が良かったかなあ。