『シン・ゴジラ』(2016)が面白かったので、怪獣映画好きとして期待の高まる『シン・ウルトラマン』を劇場に観に行ってきた。
▼Read Moreシン・ゴジラのテロップからシン・ウルトラマンに切り替わり、いきなり『ウルトラQ』第一話の怪獣であるゴメスが登場!うおお!オリジナルではモスゴジのスーツが流用されてたのを踏襲して、ちゃんとシン・ゴジラのCGを流用に置き換わってる!いきなりマニアックさ全開!その後もテンポよくマンモスフラワー、ぺギラ、ラルゲユウス、カイゲル、パゴスと出て来てテンションは一気にぶちあがり!
と、言いたいところだったんだけど、途中で「禍特対」というヤンキーも真っ青なダサイ当て字が出て来て一瞬不安がよぎった。そしてパゴスのデザインが大幅に変更されて、殆どエヴァンゲリオンの使徒になっているのを観た瞬間に「あー、これヤバいかもな」と思った。
そしてネロンガ登場。『シン・ゴジラ』よろしくスーツでパソコンカチカチやりながら早口でやりとりをする科特隊の面々。いや、怪獣が暴れている現場にパソコン抱えてスーツで登場?しかも指揮権を委ねた側の自衛隊が「引継ぎは省略でいい」ってお前が判断することではないだろ?と、アタマに疑問符並びまくり。何だか『シン・ゴジラ』でウケた要素の外面だけを大幅にスケールダウンして模倣しているようにしか見えない。それでも、ウルトラマンがスペシウム光線でネロンガの背後の山あいもろともすっ飛ばす辺りまでは楽しめた。でも、それがピークだった。
ネットでも散々叩かれていた長澤まさみを中心としたセクハラ演出(コーヒー、ケツ叩き、巨人化、匂いを嗅ぐ)にもうんざりだったし、成田亨デザインに敬意を表してウルトラマンのカラータイマーを排したという割には怪獣たちのデザインは凌辱しまくっているし、メフィラス構文も狙いすぎでしつこいし、ゾーフィのネタは知っているけどそれを公式で本当にやっちゃうのは違うと思うし、ゼットンはもはやゼットンではなかったし、ほぼ全面に渡って不満しかなかった。
何より俺はもっと怪獣プロレスが観たかった。『シン・ゴジラ』よりも予算が少ない事情があるとは言え、CGは家庭用ゲームレベル。それならいっそのこと、日本が世界に誇る着ぐるみ特撮でどんぱちやって欲しかった。
映画としても人間ドラマ部分の脚本が薄っぺらいから、突然バディだ言われてもそんな仲間意識は生まれるわけがないし、観ている側としても感情移入はできない。何だか、全てが全て『シン・ゴジラ』のパロディみたいな映画だった。残念。期待が大きすぎたのかなあ。