Reader Storeで購入した電子書籍版にて読了。新生ハマー・フィルムがダニエル・ラドクリフを主演に『ウーマン・イン・ブラック』(2012)として映画化した作品の原作小説。
黒衣の女
著者:スーザン・ヒル
訳者:河野 一郎
出版社:早川書房
発売日:2012/10/23
怪奇幻想・ゴシックに関することからくだらない日記までつらつらと。
Reader Storeで購入した電子書籍版にて読了。新生ハマー・フィルムがダニエル・ラドクリフを主演に『ウーマン・イン・ブラック』(2012)として映画化した作品の原作小説。
黒衣の女
著者:スーザン・ヒル
訳者:河野 一郎
出版社:早川書房
発売日:2012/10/23
本作は1983年発表と現代の作品であるにも関わらず、極めて古典的な構成のイギリス怪奇小説。世間での評判はかなり良いのだけれど、それはあくまで世間一般でのお話。日頃から怪奇小説や怪奇映画ばかりに耽溺している俺のようなタイプの人間からすると、古典的すぎるが故に展開はありきたりに感じるし、かなりの序盤でラストの結末は読めてしまうので、この内容なら短編の方が向いてるんじゃないかとは思った。
それでも、ぐいぐいとテンポ良く読み進められる物語は十分面白いし、変にスプラッタ要素に走ったりとかせず王道ゴシック・ホラーの展開をしっかりと守っているところは非常にいい。今時、ここまで正統派の怪奇小説の新作なんて読めないからねえ。
スーザン・ヒルは風景描写が巧みで、これは怪奇小説のジャンルではあまり見られない特徴。多分、作家自身が風景に強い関心があるのだろうけど、主人公も散歩をすることで気分全開になっちゃうあたりは何とも御愛嬌。怪奇小説の主人公であるにも関わらず、ラヴクラフトやポオのような陰鬱な登場人物ではないことに、俺は逆に衝撃を受けたのでした(笑)