Reader Storeで購入した電子書籍版にて読了。幽霊屋敷ものの代表的怪奇映画『たたり』(1963)の原作「山荘綺談」や「くじ」で知られる、シャーリイ・ジャクスンの死後に発表された短編集。
なんでもない一日
著者:シャーリイ・ジャクスン
訳者:市田 泉
出版社:東京創元社
発売日:2015/10/30
怪奇幻想・ゴシックに関することからくだらない日記までつらつらと。
Reader Storeで購入した電子書籍版にて読了。幽霊屋敷ものの代表的怪奇映画『たたり』(1963)の原作「山荘綺談」や「くじ」で知られる、シャーリイ・ジャクスンの死後に発表された短編集。
なんでもない一日
著者:シャーリイ・ジャクスン
訳者:市田 泉
出版社:東京創元社
発売日:2015/10/30
シャーリー・ジャクスンと言えば狂気に追いこまれる女性の心理というものを好んで主題にした作家。というイメージからすると意外なほどにバリエーションに富んだテーマを使いわけていることにまず驚き。特に彼女自身の育児経験が反映されているほのぼのとした育児エッセイなんて、普段の俺なら絶対に読まないような内容だった。
とは言え、やっぱりそこはシャーリー・ジャクスン。彼女の真骨頂とも言うべき、奇妙にすれ違う会話や思いが積み重ねられることによる居心地の悪さが堪能できる短編も多く収録されていて、短編なのに読んでいて物凄く精神的に疲れる。何というか、人間という存在の不安定さ、不確かさがあらためて眼前に突き付けられるような気がして。まあ、それが魅力なんだけど(笑)
原書では未発表の原稿含む54篇が収録されていて、その中から30篇が本書では翻訳されているとのこと。流石に未発表の作品もあるだけに玉石混淆な感は否めないけど、是非とも今回未収録となった他の短編も読んでみたいなあ。